さてお分かりいただけたでしょうか?かのプラハ城切手のある致命的なエラーを。
ポイントは太陽でした。 つまりあのプラハ城の姿はプラハ城より南に立っていないと見る事ができません。皆さんもご存知のように太陽は東から昇り、南を通り、西に沈みます。あのデザインは天文学的にはありえないことです。 実はこのことは後になってチェコスロヴァキア郵政又はミュシャも気付いたようで、この切手の第二版では太陽がなくなっています。 しかしながら、その太陽光を表現している線は残ったままでした。ですので都合余白から放物線上に線が伸びているデザインに変わりました。それでも、やはり初版の方が天文学的には大間違いであったにせよ一種のアクセントになっていたのだと私は感じます。ちょっと間の抜けたデザインになってしまった感じを受けます。 非常に公共性の高い印刷物(普通切手)でしたから、エラーは恥でしょう。とはいえ、修正してデザイン的に劣ってしまったということになってしまったらそれはそれで残念な話です。厄介な問題ですね。こんなことを思いつつミュシャ展を見学し、特別講演会に参加しました。 #
by zmrzlina
| 2005-02-28 21:01
| チェコ美術
今日は特別講演会があるということもあり、ミュシャ展に行きました(因みにこのサイトとても美しいです)。
さすがに「日本での最大規模のミュシャ展」というだけあって私が見た事のない彼のパステル画、彼の若いときに描いた絵も見られたり、彼のデザインのアクセサリーも見ました。 今までミュシャ展に何度も足を運んだという人も多分まだ見た事のない彼の作品が観られます。お薦めです。日本でのミュシャ人気は高いというのも勿論あるのですが、3月初頭にはもう入場者10万人を突破する見積もりだそうです。これは展覧会の評判の良さも大きくかかわっているということなのでしょう。見る価値大です(これでは繰り返しですね)。 例によって彼の作品の一つチェコスロヴァキア切手もみました。何十回と見た切手なのですが今回展示されていたのは極めて状態の良いものでした。今まで自分がみたものの中で一番か二番くらいに状態が良かったです。これは私の持っているものですが、ミュシャのデザインの切手の一部が下に見えるのがそれです。 さてこの切手アールヌーボー様式らしく、曲線的なデザインです。さらにプラハ城をモルダウ川(ヴルタヴァ川)の対岸から見たものです。いわゆるチェコスロヴァキアの代表的風景といって差し支えないでしょう。 このチェコスロヴァキアの代表的風景、プラハ城の後ろに太陽が描かれています。日が昇っているかのようなところに配されていて、いかにもチェコスロヴァキア国家が誕生したとアピールしているような切手です。 切手という面積が狭い中にこれだけのものを詰め込んでデザインするのは簡単な事ではなかったでしょう。ミュシャの情熱を感じます。ミュシャは実際この切手のデザイン、ノーギャラでしました。お陰様でなかなかにいいデザインだと思います。 ところが、この切手デザインとしては確かに良いかも知れません。しかしながらこのデザインある観点で見ると、とんでもないエラーを犯しています。皆さん考えてみましょう。答えは明日出します。お楽しみにしていてください。 ![]() #
by zmrzlina
| 2005-02-27 22:22
| チェコ美術
さて意外にも早く前編で述べた寒い時期の熱い政争は57年前の今日、2月25日に終わります。
さて昨日も書いたようにチェコスロヴァキア共産党も、非共産主義政党もお互いに譲れない立場になりました。 ここで動いたのはチェコスロヴァキア共産党です。既に1946年5月の選挙で第一党になっていて、議席数も党員数も他党を圧倒していました。チェコスロヴァキア共産党は大衆動員をかけて、プラハの町で大規模なデモを起こしました。他の非共産系政党はここまでの動員力は持っていませんでした(当時チェコスロヴァキア共産党が第一党でした)。 そしてプラハの要所、かのカレル橋やヴァーツラフ広場、旧市街広場を占め、練り歩きをするなどの一連の示威活動をしました。プラハのみならず他の都市でもそのような動きが出てきました。これは議会外での政治活動といえるでしょう。 これに対して非共産主義政党は上に書いたようにそもそも大衆動員能力がチェコスロヴァキア共産党ほどにはありませんでした。そして自分らに同調してくれるであろうと見られた政党の支持も実に揺れに揺れ、結局辞表を提出しませんでした。これで過半数の辞表提出が実現しなくなったわけです。 こうなると有利になるのはチェコスロヴァキア共産党です。そもそもはチェコスロヴァキア共産党を排除させる意図で出された辞表をそのまま大統領に受理させることも可能になったわけです。 実際これはチェコスロヴァキア大統領、ベネシュ(彼の立場はどちらかというと非共産主義政党に近かったです)はもう既に国内での混乱を目の当たりにして、国内の内乱を恐れたと言われていますが、そのまま非共産主義政党の大臣の辞表を受理しました。 そして、首相はチェコスロヴァキア共産党のゴットヴァルトでしたのでこの大臣の辞任を受けて彼の思うような組閣をしました。 しかしながらこれによって連立政権が完全に崩壊した訳ではありませんでした。大統領は変わりませんでしたし、チェコスロヴァキア共産党以外の者が後釜に座ることも、多くありました。 ただし、どちらかというとチェコスロヴァキア共産党の同調者を新たに迎え入れての組閣でしたので、国民戦線は形骸化されました。これによってチェコスロヴァキア共産党による単独政権が成立したと解釈だってできます。 軍配は結局チェコスロヴァキア共産党に上がったと言えるでしょう。これ以降チェコスロヴァキアにおいては社会主義を目指していく方針が徐々に固まっていきます。2月25日は「勝利の二月」としてチェコスロヴァキアの祝日になりました。 57年前の今日にはこのようなことがありました。チェコスロヴァキアの歴史をひも解くと8が末尾についている年は何らかの事件が起きたりする、偶然があるのですが。今回の場合はチェコスロヴァキアにおける社会主義政権成立だったわけです。 それにしてもこんな寒い中、まあようやるわと感じます。今日もこちら日本、全般的に寒かったですし、チェコスロヴァキアに至っては当然もっと寒いわけなので寒さを思い偲ぶことができます。 因みに近代の突発的な政治的事件に季節は関係ないのかもしれません。明日2月26日には日本においてかの2・26事件が起きている訳ですから・・・。 #
by zmrzlina
| 2005-02-25 19:11
| チェコスロヴァキア史
それは57年前の今日に前後して動きがありました。当時のチェコスロヴァキアの連立政権であった「国民戦線」の中での対立が深まってきて、もはやこの亀裂を修復するのがほぼ不可能になったときに起きました。
当時の国民戦線政権のうちで非共産主義政党出身の大臣が、チェコスロヴァキア共産党との連立を解消しようとして辞表を当時のチェコスロヴァキア大統領に提出しました。 決まりとしてはその内閣の大臣の過半数の辞任が認められると、新しく組閣することになっていました。 このことを利用して、非共産主義系政党は辞表を提出して、新たにチェコスロヴァキア共産党を除いた内閣を作ることを狙っていたわけです。 しかしながら実際に辞表を提出したのは全大臣の4割程度。もう少しの人数が同調して辞表を出して受理されなければ、非共産党系政党の思惑通りには行きません。大きな博打でした。 一方チェコスロヴァキア共産党としても、もし過半数の辞表が提出されて受理されたら彼らにとって大変なことになります。自分らが政権から排除されることになります。何としても辞表出すものが増えることを阻止しなければなりませんでした。 ここに、こんな2月の寒い日々でしたが当時のチェコスロヴァキアでは非常に熱い政争が湧き上がりました。お互いに譲れない局面、結局どちらの方に軍配が上がったのでしょうか?次回は明日。 #
by zmrzlina
| 2005-02-24 22:03
| チェコスロヴァキア史
1968年のチェコスロヴァキアでの改革運動であった「プラハの春」の際に活躍していた歌手マルタ・クビショヴァーの歌を聴く機会にあいました。
曲はかのビートルズの「Hey Jude」です。この歌を歌っては「プラハの春」で人々を勇気付けていたそうです。「Hey Jude」はもはや説明のする余地もないほどの有名曲、名曲です。しかしながら、マルタ・クビショヴァーはこの歌を歌う際にはタイトルを「Hey」から「Hej」にしています。チェコ語はjは英語のyに近い音であるとはいえるので、そういう風にしてあわせたかしらんと想像しています。 そうでありながら、「Jude」の部分は全く変化させずに「Jude」にしています。結局マルタ・クビショヴァーのそれは「Hej Jude」です。何だか面白いです。チェコ語は大体人名がチェコ語化するときにはしばしば綴りを変えたり(例:英語:John→チェコ語:Jan)、発音を大幅に変えたりすることがあります(英語:Geoge→チェコ語:Jiří(イジー))。にもかかわらず。このJudeの場合は何があったのか分かりませんが、「Jude」のままです。歌そのものが1960年代であり、1968年の「プラハの春」に前後しているという意味で興味深い歌ですが、チェコ語という観点から見ても興味深いタイトルをつけていると感じました。 あい変わらずチェコ語には悩まされます。外来語を変化させてチェコ語化したり、しなかったりで・・・。なかなか厄介なものです。 #
by zmrzlina
| 2005-02-23 20:40
| チェコ語
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